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なぜマーベルはDCに負けないのか?『ドクター・ストレンジ』レビュー

※この記事では映画の内容に言及していますが、極端なネタバレは控えています。

1/27から日本での公開が始まり、週末興行成績1位という好スタートを切った『ドクター・ストレンジ』。鑑賞しましたのでレビューを書きました。

 

テンポの早い脚本

今作序盤では天才神経外科医のストレンジが如何にして魔術師になったかが描かれています。

マーベル映画全般に言えることですが、「ヒーローになるまで」がとにかく早足。場面を短くまとめ、心情描写やディティールの説明を多少カットしてでも、序盤をスピーディに構成しようとしているのがわかります。

必ずしもテンポが早いのが良いとは限りませんが、おかげでストレンジが魔術師になるまでのアクションが少ない部分を短く抑えられています。『バットマンvsスーパーマン』なんかはアクションに至るまでの会話が多すぎて退屈な印象を受けましたが、『ドクター・ストレンジ』はその正反対の作品です。

見るドラッグとしての映像表現

『ドクターストレンジ』は映像が革新的、というのは予告から広報記事までとにかくプッシュされていますが、見てみるとそれが納得の出来でした。

予告では街が万華鏡のように歪んでいくシーンが目立ちましたが、本編ではストレンジが神秘の世界を垣間見る場面が最も印象に残ります。『2001年宇宙の旅』のトリップシーンを正当進化させたと言っていいくらいのサイケデリックなCG映像は、劇場で観てこそ100%楽しめます。

ラストバトルの結末に驚嘆

「映像はすごいのかもしれないけど、ストーリーはいつもの感じでしょ」、というのが鑑賞前の僕の思いでした。

バトルものというジャンルなので仕方ありませんが、マーベル映画のクライマックスはだいたい「敵と戦って勝つ→問題解決」の流れをとります。ですが今作のクライマックスは戦うだけの脳みそ筋肉なシナリオではなく、捻りが効いています。

ある意味ではヒーローものらしくなく、またある意味ではヒーローものらしいともいえる結末。ちなみに僕はすごく好きです。

マーベルスタジオの映画はまるでApple製品

マーベル映画は常にシンプルでわかりやすく作られていますが、ユーザーを飽きさせないための革新も怠っていません。シンプルかつ高品質な製品(作品)を、安定して供給し続けるその姿勢はApple的と言っても過言ではないでしょう。

DCの作品群が次々と微妙な評価をされるなか、昨年トータルの興行収入が100億ドルを突破したマーベル。まだまだその勢いは衰えなさそうです。

マーベルスタジオ最新作『ドクター・ストレンジ』、新時代の映像表現をぜひ劇場で楽しんでください(僕はIMAX3Dで鑑賞しましたが、4DXとの相性も抜群でしょう)。