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現代文学としての『東京タラレバ娘』

テレビドラマ第1話の放送を1/18(水)に控えた『東京タラレバ娘』。結婚できないアラサー女三人組の波乱万丈な恋愛を描いた原作漫画は、累計発行部数260万越えの人気作品です。

少女マンガはめったに読まない僕ですが、タラレバ娘は夢中になって読みました。特に1巻は読んでるこちらの精神まで傷つくような、とてつもない漫画体験でした。ネット上で独身女性が悲鳴交じりの感想を書いているのも理解できます。

もはや小説だけが文学ではない

 

2016年、ミュージシャンのボブ・ディランノーベル文学賞を受賞しました。これには賛否両論がありましたが、歌詞=詩であり、詩は文学として解釈できるという考え方は理解できます。

そして歌詞というテキストを文学として捉えられるのなら、物語性を持つ漫画もまた文学として認識されてもおかしくないはずです。

文学は書かれた時代の思想や文化の写し鏡のような存在。タラレバ娘はその意味で2010年代を生きる独身女性の心境を残酷なまでのリアリティをもって描いています。

結婚できない女性の負のスパイラル

ネタバレになるので詳細な話は避けますが、主人公である倫子の持つ悩みはあるジレンマから来ています。そのジレンマとは、こういうもの。

そろそろ結婚しないとヤバい←→適当な男とは結婚できない

年をとって結婚への焦りが出てくる倫子ですが、結婚相手にはどうしてもルックスや収入、性格など高スペックを求めてしまう。しかし当の倫子自身はアラサーで高望みは難しい。かといって、このまま結婚しなければさらに年を重ねて結婚は難しくなってしまう。でも適当な相手とは結婚したくない。完全に負のスパイラルに突入しています。

男の僕ですら倫子のジレンマは理解できます。この悩みは日本中の独身女性に共感されうるものでしょう。だからこそ『東京タラレバ娘』は優れた現代文学だと僕は言いたいんです。

 

この記事で書いたのは倫子の抱える悩みの一面に過ぎません。タラレバ娘では他にも倫子の友人2人のドロドロした恋愛模様なども描かれ、そちらも目をそらしたくなるほど悲惨で笑える話になっています。

ドラマ放送目前のタラレバ娘、単行本最新7巻も1/13日発売なので要チェックです。