映画を見るという狂気、映画に正しい見方はあるのか?
「テレビを見るときは部屋を明るくしてテレビから離れて見てね」なんてアナウンスのあるアニメが子供の頃よく流れていました(こち亀の「てってっテレビを見るときは~」とか)。あのアナウンスはポケモンショックをきっかけに始まったらしいのですが、とにかくテレビには「正しい見方」があるみたいです。
では映画には「正しい見方」はあるのでしょうか。最近それについてふと考えてみたので、この記事では「映画の正しい見方」について少し考えてみましょう。
目次
映画を見るという狂気
自慢でもなんでもありませんが、僕はほぼ毎日映画を見ています。それで平日はいつも家でレンタルなりネット配信なりで映画鑑賞をしているのですが、僕は自宅での鑑賞時はスマホなどは一切触らないように注意しています。
お菓子ぐらいつまんだりはしますが一時停止も可能な限りはせず、できるだけ劇場での鑑賞に近い状態で映画を見てるんですね。で、そんなことをしていると時折「俺なにやってんだろう」という違和感を感じます。
仕事の場合はさておき、現代人が2時間黙って一つのタスクに集中するなんてなかなかありません。ps4でゲームするにしたって途中でスマホいじったりしますし、テレビを見る時に他に何もせずテレビだけじっと見てる人は少数派のはずです。
映画を見るという行為はもはや現代人にとって不自然な営みになりつつあります。映画館で鑑賞する際はほとんどの人がスマホの電源を落とすでしょうが、現代においては「スマホの電源を切る」って行為がそもそも不自然ですよね。今やスマホってほとんどの人が電源つけっぱなしで、せいぜい数日に一回再起動する程度じゃないですか(寝る時にスマホの電源って切ります?)。
このことからもわかるように、映画を見るという行為がいかに現代人の行動パターンから乖離しているかがお分かりいただけるはずです。
映画というメディアの変容
映画館で映画を見る時、僕らは必ず二時間かそこら椅子の上に拘束されます。ですから多くの映画監督たちも観客が映画館で映画を見る前提で制作を続けてきたはずです。
しかし近年、レンタルビデオやネット配信サービスの隆盛によって映画は、どこでも見られるメディアへと変容を遂げました。僕らはその気になれば外出先でだってスマホで映画は見られます。
何で見るか(what)、どこで見るか(where)、いつ見るか(when)、どのように見るか(how)、映画の見方は実に多様化しました。だからこそ、映画の見方について考える意義が生まれてきます。
ここで少し家で映画を見るときの鑑賞方法について、対話形式で考えてみましょう。
架空映画談義「映画は如何に見るべきか」
登場人物
一年に400本以上見るシネフィルの一夫(かずお)さん
たまに休みに映画を見るのが趣味のA子(えいこ)さん
東京某所-二人の職場近くの居酒屋にて
一夫「A子さんは普段家で映画見るとき、どんな風に見てるの?」
A子「えっ、いきなりですね。フツーですよフツー」
一夫「普通って言ってもいろいろあるじゃない。例えば僕は出来るだけ映画に集中できるように、スマホの電源切るのはもちろんテレビ以外の電気も全部消してるよ」
A子「えっ、それ目悪くなりませんか」
一夫「目には良くないけど集中したいからね」
A子「そもそも家で見るときにそんなに集中する必要あります? 私よくLINEしながらとか、家事しながらとかで見てますけど……」
一夫「おいおいマジかよ」
A子「BGM代わりに流しておくのが好きっていうか……。でもながらでもちゃんとストーリーは追えますよ?」
一夫「いやいや映画はストーリーだけじゃないでしょ……。構図にカメラワーク、画面の背景に映ってる小道具とか、登場人物のファッションとか、注意して見るべきところがいくらでもあるでしょ……」
A子「そんなに肩肘張って映画見て楽しいんですか?」
一夫「ふざけんな! 楽しいに決まってるだろ! このアマ!」
A子「なによこの映画オタク! どうせ好きな映画は「ダークナイト」でしょ!」
一夫「うるせえ「ダークナイト」はいい映画だろうが!」
A子「ゴッサムシティでも救っとけ!」
たったひとつの素晴らしい鑑賞法
上のくだらない架空対話など読むまでもなく、映画の見方論争は水掛け論にしかならず決着のつけようがありません。これを言ってしまえば終わりですが「娯楽なんだから個人の好きなように見ればいい」のです。
ですが、さまざまな映画鑑賞法の中で、とりわけ質の高い映画体験が得られる鑑賞法が一つだけあります。その鑑賞法こそ、最もスタンダードにしてオールドタイプな「映画館で見る」ことです。
映画館に習慣的に通われている方なら誰しもが経験的にわかることでしょうが、家で見る映画と劇場で見る映画は明らかに違います。音響、画面、照明、映画館の設備は徹底して映画鑑賞のためだけに作られているため、一度劇場の席についてしまえば観客は否が応でも映画に集中せざるを得ません。
最近気づいたんですが、映画館で席に着いたあと上映前のCMの間にスマホをいじってるとCMが気になってしょうがないんですね。CMそのものはテレビで流れるものと大差ないのに、大音量・大画面で流れているとどうしても意識がそっちに逸れるんです。これこそ、映画館の設備がただのCMにすら気を引かせてしまうほどの性能だということの証左ではないでしょうか。
と、いうわけで家で見るのも結構ですが、映画館へ行きましょう。プレミアムフライデーは安くなります。毎月1日も安くなります。安くなくても1800円払ってでも見る価値はあります。だから、映画館へ、行きましょう。
おまけ:今夏のおすすめ映画
リンクは各映画の公式サイトに繋がってます。
「ジョン・ウィック:チャプター2」…今度は犬以外の全てを奪われるらしい。7/7~
「カーズ/クロスロード」…カーズ3作目。大大大大大期待。7/15~
「スパイダーマン:ホームカミング」…今度のヴィランはバットマン!? マイケル・キートンがヒーロー映画に復活。8/11~
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」…ポストジブリ戦争、第二の君の名はをねらえ! 8/18~
「ワンダーウーマン」…なんでもDC実写映画で初めて面白いんだとか。8/25~
おまけのおまけ:もうすぐプライム・ビデオから消える映画たち
プライム・ビデオの「30日以内にプライム会員特典ではなくなる作品」が外国映画だけでも229作品も。キューブリックの映画が軒並み消えちゃうみたいなので未見の方は是非。あとマイケル・キートンが主演の「バットマン」もリスト中にあるので、「スパイダーマン:ホームカミング」の予習したい方は早めにどうぞ。
以上もゆる(moyuru@2580)でした。
ブログリニューアル! 以外と早めにできました。「Walking Pictures」をよろしくお願いします。
— もゆる@映画ブログ (@moyuru2580) 2017年7月1日