Walking Pictures

「映画をもっと面白く」をスローガンに古今東西の映画について語ります

4/20は何の日だ?~麻薬映画の誘い~

今日4月20日が何の日かご存じだろうか。

おそらく読者の方の半分もわからないであろうこの質問の答えは、マリファナの日(マリファナデー)」だ。

マリファナの通称「420」にちなんだ4月20日には、アメリカ・カナダの各地で人々がマリファナの合法化を訴えながら"ハッパ"をふかす。

でも日本人の僕たちにとってマリファナはどこか遠くの存在だ。

だからこそ、少しでもドラッギーで浮かれた気分になるために今日は麻薬が登場する映画を紹介しよう。

※以下麻薬についての説明もありますが、筆者は薬学分野で一切の資格を持たない素人であるということをお忘れなく。

目次

 さまざまな麻薬とそれにまつわる映画たち

全ての麻薬の入口~マリファナ~

映画でマリファナが登場するとき、大抵は巻き紙でマリファナを包みタバコのようにして煙を吸うのが一般的だ。だから説明がないとタバコを吸っているのかマリファナを吸っているのかがわかりにくい。そしてそれは、何の説明もなくスパスパ吸っていても自然なほどマリファナがアメリカ社会に浸透していることを意味するのかもしれない。

実際アメリカではマリファナが合法の州もあり、それもあってか映画の世界でマリファナはかなり気軽に服用される傾向がある。

コメディ映画「ネイバーズ」では主人公が隣に越してきた大学生たちと仲良くなろうとして、大学生たちにマリファナを手渡すシーンがある。引っ越しソバならぬ引っ越しハッパというワケだ。

ネイバーズ (字幕版)

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例の白い粉~ コカイン~

コカインは、コカ科コカ属の植物の葉を加工して精製される麻薬だ。

あのコカ・コーラの「コカ」がこのコカの葉の「コカ」に由来しており、かつてはコカ・コーラにもコカの成分が配合されていたというのはあまりにも有名な話だろう。

映画における麻薬吸引シーンで印象に残るのは、白い粉をクレジットカードなんかで線上に並べて鼻から一気に吸うというものだが(これを「スニッフ」と呼ぶ)、コカインの摂取の多くはこの方法で行われる。

コカインの出てくる映画といえば真っ先に思いつくのはブライアン・デ・パルマ監督の「スカ―フェイス」だ。

ごろつきの主人公トニー・モンタナはギャングの下っ端から徐々に組織を上り詰め、最後にはトップとなり自らコカインの密売を牛耳るようになる。権力を手にしてコカイン吸い放題になったモンタナはひたすらコカインを吸いまくるのだが、徐々に薬物に耐性が出来てきて少量では効かなくなっていく。

モンタナが山のように積もったコカインに顔を突っ込むシーンは、一度見たら忘れられない。

スカーフェイス [Blu-ray]

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 当然ながらギャングと麻薬の間には深い関係がある。これは個人的な私見だが、良いギャング映画は麻薬についての描写を怠らない。ギャングを描くということは、すなわち麻薬を描くということなのだ。

日本生まれの薬物~覚せい剤~

芸能人のスキャンダルでよく名前の効かれる覚せい剤。実はこの覚せい剤ができるきっかけになったのは、日本人である長井長義の麻黄についての研究だった。

覚せい剤が本格的に使用されるようになったのは第二次世界大戦以降であり、「ヒロポン」の名で夜間勤務の軍人やパイロットなどに使われた。

そして戦後ヒロポンが民間に放出されると、ヒロポンは国内で爆発的に流行し始めたのである。

戦後のヒロポン流行が垣間見える邦画として仁義なき戦いがある。

仁義なき戦い

仁義なき戦い

 

 今も昔も、アメリカでも日本でも、ドラッグというのはヤクザのシノギなのだ。

また映画ではなく海外ドラマになるが、それでも覚せい剤について書く以上ブレイキング・バッドについて触れないわけにはいかないだろう。

癌で余命宣告を食らった科学教師の主人公が、貧しい家族のために教師として培ってきた科学知識で覚せい剤を精製し売るという、なんとも奇想天外なストーリーのこのドラマは海外ドラマ界でも非常に高い評価を受けている。ちなみに記事執筆現在Netflixで視聴可能。

 麻薬の王様~ヘロイン~

ケシから得られた阿片をさらに加工して作られるのが、悪名高きヘロインだ。ヘロインが麻薬の王様と呼ばれるその理由は、快感と中毒性の両方において他の薬物を凌いでいるからに他ならない。

ヘロインの摂取方法としてポピュラーなのは静脈注射で、パルプ・フィクションなど映画でも静脈注射の様子を映し出した作品は多い。

最近続編が公開されたトレインスポッティングもヘロイン中毒者たちの青春を描いた名作で、麻薬映画といえばコレ!といった印象の作品だ(残念ながら2はそこまで麻薬麻薬していなかった)。

また「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督のレクイエム・フォー・ドリームは、ヘロインの恐ろしさを切実に表現した良作。ジャンプカットを多用する独特の編集と、あまりにも暗い音楽とが相まって映画全体が独特の雰囲気に包まれている。

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まとめ~麻薬について知ると映画はもっと面白くなる~

邦画にはそこまで違法薬物が出てくることはないかもしれないが、こと洋画には高確率で麻薬が登場する。だから麻薬についてある程度の知識を持っておけば、より深いところまで映画を理解することができるのだ。

具体例を出して説明しよう。

映画パルプ・フィクション」に、ヒロインのミアが主人公ヴィンセントのジャケットに入っていたヘロインを吸って昏睡してしまうシーンがある。

このシーンでミアはなぜ昏睡したのか? それはミアがヘロインをコカインと間違えて鼻から吸引したからだ。ヘロインはコカインよりも効き目が強く、より少量で効果がある薬物なのだ。ミアはヘロインをコカインと同じ要領で吸ったため過剰摂取(オーバードーズ)をおこしたというわけである。

他のシーンでヴィンセントがヘロインを使う時は静脈注射で、ミアがコカインを吸う際は鼻から吸っている(スニッフ)のを鑑みても、これは間違いないように思える。

パルプ・フィクション [Blu-ray]

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 もちろんミアが昏睡した理由なんて映画の本筋には全く関係なく、そのようなことは知らなくても問題なく「パルプ・フィクション」は楽しめるのだが、映画を観る時の視点のひとつとして「麻薬」という観方があるのを忘れないで欲しい。

 

参考文献 『<麻薬>のすべて』 船山信二 講談社現代新書

〈麻薬〉のすべて (講談社現代新書)

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