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“ほぼ”デイリーシネマ

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長い映画はつまらない?『映画大好きポンポさん』から考える映画の尺論

twitterをだらだら眺めていたら、複数人のフォロワーさんが「この漫画おもしろい!」と言ってベタ褒めしていたのがpixivで無料公開されている『映画大好きポンポさん』。

映画制作を題材にした漫画は珍しかったので読んでみたところ、非常に引きこまれる名作でした。主人公の男の子の好きな映画が「スティング」「ファイト・クラブ」「タクシードライバー」って何ですか、このこじらせ映画オタクの象徴みたいなキャラは、完全に僕じゃないですか。

作中で一番シンパシーを感じたのは、ポンポさんの語る「長い映画は嫌い」という話。この記事では「映画の長さ」について私見を述べてみようと思います。

目次

映画鑑賞と集中力

映画というメディアの特徴

映画というメディアの鑑賞のされ方は、漫画や小説とは本質的に異なっています。

なぜなら漫画や小説は受け取り手(読者)側が鑑賞の主導権を握っているのに対して、映画における鑑賞の主導権は受け取り手のものではないからです。

わかりにくいので具体的な話をしましょう。

たとえば小説を読むとき読者はその小説を一気に読むこともできますし、また分けて少しづつ読むことももちろん可能です。これが読者が鑑賞の主導権を握っているということ。

対する映画はどうでしょうか。

映画は受け取り手が作品に集中していようがいまいが、一定の速度でフィルムが回り続けます。劇場で映画を観るときトイレに行きたくなっても、途中で映画を止めたりできませんよね?(昔はトイレ休憩のある映画があったんですけども)。 

その意味で映画というのは鑑賞の主導権が受け取り手になく、基本的に一気に観ることが前提となっているメディアなんです。

「DVDで見れば止めたり、巻き戻したりできる」という意見はもっともですが、映画の主戦場はやはり劇場である以上、映画は一気に観ることを前提に作られているといえるでしょう(別にDVDで鑑賞するときに止めたり戻したりするのがダメと言いたいわけではありませんむしろ私はよくやりますし、それがDVD鑑賞の一番のメリットです)。

映画は2時間の法則

100年以上もの歴史の中で、映画の尺は「2時間前後」で仕上げるのが主流になってきました。

理由については諸説ありますが、主な理由はこの二つではないでしょうか。

  1. 人間の集中力の限界が2時間程度
  2. あまり長いと劇場の回転数が悪くなる

2番について少し説明すると、劇場の営業時間が15時間だとした場合2時間の作品なら7回上映できますが、3時間の映画は5回しか上映できない(上映インターバルは考えないものとする)ので時間に対する利率が悪いということです。2時間でも3時間でも映画料金は同じですからね。

そして本題は1番です。

上でも述べた通り映画は一気に鑑賞されることを前提に作られているため、観客を飽きさせたり、疲れさせたりしないように作らなければいけません。小説なんかだと分けて読めるので、作品は作者の好きなだけ長くできますが映画はそうはいかないんですね。

ポンポさんが90分以下の映画が好きと言った気持ちは痛いほどよくわかりますし、長い映画を観る苦痛も本当に共感します。

ですが、長い映画の中にも当然名作はあるんです。

 愛すべき長ーーーーーーーーーい映画たち

完璧主義な監督たち

映画界きっての大天才かつ完璧主義で知られているスタンリー・キューブリック彼の作品はどれも名作と名高いのですが、同時に長ーーい作品も存在します。

『シャイニング』2時間26分、そこそこ長い!

2001年宇宙の旅』2時間41分、長い! 

バリー・リンドン』3時間23分、ここまでくると観るのに覚悟が必要!

厄介なのはこの長い作品たち、どれも最高に面白くてとてつもなくクオリティが高いところ。映画好きなら避けては通れない作品ばかりです。

でも長いから見るの辛いんです。「2001年」なんかは上映時間こそ「バリー・リンドン」より短いですが、わかりにくいシーンや抽象的なシーンが多いので正直眠くなります。有名なワームホールシークエンスもやたらと長くて途中で意識飛びそうになりました。

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 完璧主義な天才といえば日本にも黒澤明という巨匠がいますが、黒澤の代表作「七人の侍」は上映時間3時間28分。

完璧主義の作家たちは不必要なシーンは削りますが、必要だと思ったシーンは絶対に削らないから映画が長くなりがちなのかもしれません。

ちなみに「バリー・リンドン」と「七人の侍」は3時間以上あるのでちゃんとトイレ休憩(インターバル)があります。

七人の侍

長い映画を乗り切る

劇場の魔法

映画マニアたるもの長いからといってその作品を観ないわけにはいきません。だからこそ私はこれまで尺の長い作品を乗り切る方法を考えてきました。その結果ひとつだけ長い映画を乗り切る方法が見つかりました。

それは映画館で観ることです。

真っ暗な空間で、巨大なスクリーンに大音量の音声。劇場という空間は否応なしに私たち観客を作中世界に引き込みます。

3時間7分の「ヘイトフル・エイト」を劇場で観ましたが、その際はほとんど集中力の途切れを感じませんでした。

自宅での鑑賞の場合

「そんなこと言われても『2001年』は映画館でやってねぇよ」と言われそうなので、自宅での鑑賞時のことも一応書いておきます。ただ自宅での鑑賞は私も試行錯誤中なのであくまでも参考程度におねがいします。

  • スマホの電源はoffにして遠くに置いとく(鑑賞中にLINEとか見始めたらおしまい)
  • トイレは済ませておく(トイレで集中力が途切れるのを防止)
  • 寝起きに鑑賞する(逆に睡眠不足の時には観ない)
  • 分割して鑑賞してもいいと割り切る

上の3つは当たり前ではあるんですけども、好き勝手できる自宅だからこそ集中力が途切れる要素が多いので注意しなければなりません。

ソファやヘッドホン、スピーカーなどで鑑賞環境を整えるのも重要です。僕はいつも人をダメにするソファに座りヘッドホンを装着して映画観てます。

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 最後の分割鑑賞についてですが、DVDは止めたり巻き戻したりできるのが最大の利点なのでその長所を有効活用しようということです。

あと過去の名作はミニシアター系の劇場でリバイバル上映していたりもするので、そういったサービスもぜひ使ってみてください。ちなみにTOHOシネマズもリバイバル上映の取り組みをやってます。「七人の侍」は10/8~10/21まで上映してるみたいです。

まとめ

ポンポさんは短い映画が好きみたいですが、もちろん長い映画だっていいもんです。ただちょっと観るのが辛いだけですよ。

長い作品は見終わった時の達成感もあります。長い映画だからといって毛嫌いしないで、挑戦してみては如何でしょうか。

あと『映画大好きポンポさん』も必読です!