自分には才能が無いと思う人に見てほしい「ガタカ」
自信の限界を提示され
それでも強く生きた男の話
「ガタカ」のレビューと感想
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— もゆる (@moyuru2580) 2017年3月4日
目次
あらすじ
遺伝子操作が当たり前になり、人間の能力は遺伝子で判断されるようになった近未来。
遺伝子操作を受けず生まれた青年ヴィンセントには宇宙飛行士になる夢があったが、彼の前には自らの遺伝子という超えられぬ壁が立ちはだかっていた。
やがてヴィンセントは、不慮の事故で障碍者となったエリートと組み「遺伝子詐称」を試みる。
今やヴィンセントはヴィンセントではない。
網膜認証、尿検査、血液検査、あらゆる認証をパスした彼は完璧な遺伝子を持つ男、ジェローム・ユージーン・モローとしてガタカ社に迎え入れられた……。
こんな映画だ「ガタカ」
遺伝子を題材にした傑作SF映画「ガタカ」、監督は「トゥルーマンショー(脚本)」「TIME/タイム」のアンドリュー・ニコル。現在は「Anon」というタイトルの映画を製作中のようで、なんでもこちらもディストピアSFだとか。どうやらSFはアンドリュー・ニコルのお気に入りのようです。
そして主演はイーサン・ホーク、本作では今ほどワイルドな見た目ではなくハンサムな印象です。
ヒロインは「画面に映るだけで色っぽい女」ユマ・サーマン、「ガタカ」でまともに出てくる唯一の女性登場人物です。この映画のホモソーシャル感はすごい。
さらに主人公に遺伝子を提供するエリート役としてジュード・ロウ、主人公の弟役はローレン・ディーンとなっております。
まーとにかく美形揃いです。しかも皆パリッとキマったスーツ姿。お腐れな方々も大満足の映画ですね。
「ガタカ」は間違いなくSFですし、リアリティもあります。ですが、なんですけど、この映画SF的側面よりも「男の友情」が前面に出ています。
殴り合った後、地面に寝っ転がって「いいパンチだったぜ」みたいな展開をやります(ほんとにやります。嘘じゃないです)。
要はSFである以前に人間ドラマなんですよ、「ガタカ」は。
「ガタカ」とディストピア
遺伝子の優劣により人間の能力を測る社会、が「ガタカ」で提示されるディストピア。
残酷なのは、能力判定の結果にエビデンス(科学的裏付け)があることです。
「アンタは生まれつき心臓が弱いのでスポーツ選手になるのは無理です」と、明確な根拠を持って言われる恐怖、そこには反論の余地はほとんど残されていません。
生まれつきの自分の特徴が、科学的検査の結果で、科学的に点数付けされること。
それは合理的でありながらも、果てしなく理不尽です。
独裁者に代表される明確な「敵」のいないディストピア、人類に貢献するが故に保持され続けるシステム。
寓話としての「ガタカ」
多くのSF作品は寓話の形式を持っています。
寓話というのは「教訓としての意味合いを持っている物語」のことで、代表的な例に『アリとキリギリス』があります。『アリとキリギリス』の教訓は「真面目に働かないと大変な目に会う」といったところでしょう。
では私たちは「ガタカ」のストーリーからどのような教訓を読み取ればいいのでしょうか。
限りなく単純化すれば「才能なんて関係ない、大切なのは努力なんだ」というメッセージが、本作の教訓です。
しかしこれではあまりにも単純すぎます。その程度の教訓ならわざわざ映画に入れる必要ありません。なので上の教訓を、本作のストーリーに沿ってもう少し具体化して表現してみます。
「たとえ才能が無くとも、努力し続ければ周囲の人間はあなたを認めてくれる」
「自分の限界を超えるには他者からの協力が必要不可欠である」
これが私が「ガタカ」から解釈した教訓です。
主人公ヴィンセントは孤独な努力を続けますが、やはり一人ではどうしようもありません。なぜならそこには遺伝子という壁があるからです。
しかしそれでも彼は目の前に聳え立つ「自身の限界」を越えようとします、その時ヴィンセントに必要なのは他者の協力です。事実彼は、優秀な遺伝子の持ち主ジェロームと組まなければガタカ社に入社する事すらできませんでした。
ヴィンセントはジェローム以外からも、多くの人からの力添えを受けます。彼が支持を受けられた理由は、彼が限界に苦悩しながらも努力をやめない不屈の精神の持ち主だったからでしょう。
繰り返しますが「ガタカ」はSFである以前に人間ドラマです、その意味で本作は私たちの人生にも深く関わるテーマを持った作品なのです。
人知れず孤独な努力を続けているあなたに、「ガタカ」を送りたい
いつかあなたは報われる
いつかあなたを能力でなく、人として理解してくれる人が現れると信じて