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“ほぼ”デイリーシネマ

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【レビュー】『ドライヴ』疾走する純愛

犯罪映画は映画の花形。現実世界ではおよそ巡り会えないバイオレンスな出来事の連続を目の当たりにできるのは、クライムサスペンスの専売特許です。

今回取り上げる作品はクライムサスペンスの傑作『ドライヴ』。現在上映中の『ネオン・デーモン』の監督であるニコラス・ウィンディング・レフンさんの代表作です。

 

あらすじ

昼は自動車修理工、夜は強盗の逃がし屋として働く主人公は、ある日同じアパートに住むアイリーンと出会い一目惚れする。しかしアイリーンは既婚者で、彼女の夫は現在服役中だった。夫がいない間に2人は恋に落ちていく。

やがてアイリーンの夫は釈放されるが、彼は刑務所内で作った借金のせいで強盗を強要されていた。アイリーンにまで危険が及ぶのを恐れた主人公は、逃がし屋として彼の強盗を手助けすることになるのだが……。

無駄なセリフは一切ナシ、全ては映像で語られる

この作品、可能な限りセリフを減らしています。

『ドライブ』の主人公はとにかく無口です。どのくらい無口かと言うと、デスロードのマックスぐらいには喋りません。

なので細かい設定や状況がややわかりづらいところはあります。しかし登場人物の感情についてはクローズアップの多用や、特徴的な照明の使い方など様々な撮影技術を駆使してしっかりとフォローしています。

フィルムノワールを思わせる演出

映画のジャンルのひとつに「フィルム・ノワール」というものがあります。全体が暗いムードで進行し、影が効果的に使われ犯罪が描かれる『ドライヴ』はまさしく現代に蘇ったフィルム・ノワール作品と言ってよいでしょう。

特に注目すべきは照明です。

温かい家庭の象徴のような存在であるヒロインのアイリーンには多くのシーンで、暖色系のオレンジがかった光が当てられます。

対して犯罪に身を染めている主人公は、アイリーンと同じフレーム内に収まっていても光が当たらない影の中にいることがほとんど。このような非言語的な演出をどれだけ読み取るかで、『ドライヴ』の面白さは変わってきます(映画全般に言えることですが、『ドライヴ』では特に顕著です)。

 

近年の大ヒットする映画は往々にして過剰なほどに観客に親切です(『君の名は。』とか)。ですが説明過多では表現できなくなる繊細な情緒というものもあります。

また映像を主体にした語りは抽象的になると同時に、解釈の多様性を成立させます(ラストシーンなんかは明確に2通りの解釈ができます)。

少し変わった作風ですが、100分ほどの作品なので鑑賞するハードルは高くありません。ぜひご鑑賞ください。

 

『ネオン・デーモン』は未見なので来週にでも見に行ってみようと思います。