【ネタバレ有り解説】「メッセージ」を分析したら監督の手腕を思い知った件
ジェームズ・キャメロンは「「ターミネーター2」のラストで「未来は変えられる」と語ってみせた。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」然り、「マイノリティ・リポート」然り、未来を知った者は皆運命に抗おうとする。
しかし未来は本当に変更可能なのだろうかか。人間は運命に抗えるのだろうか。映画「メッセージ」は自由意志について、そのような問いを発する作品だ。
※この記事には「メッセージ」のネタバレが含まれています。未見の方はネタバレなしのこちらの記事をご覧ください。
目次
- 言語が人間を変える
- 原作との相違点
- 自由意志についての物語
- あとがき
【感想・レビュー】日本よ、マーベルよ、DCよ、これが「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」だ。
マーベルにDC、それからたまにタツノコ。ほとんど毎月のように公開される実写化ヒーロー映画にいい加減うんざりし始めているのはぼくだけではないだろう。
絢爛なコンピューターグラフィックで装飾された画面は興奮するけれども、そればっかりじゃあなんだか見てて辛くなってくる。
そんな気分のぼくらの元に、イタリアから新しいヒーローがやってきた。今度のヒーローは空を飛ばない、蜘蛛の糸も出さない、爪も生やさない、あと宇宙でアライグマと一緒に戦ったりもしない。
イタリアの鋼鉄ジーグはただただ無骨な肉体性だけを備えたヒーローなのだ。
目次
- 「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」ってなんなんだ?
- あらすじ
- キャラの魅力は過去のどのヒーロー映画をも凌ぐ
- オタクのオタクによるオタクのための映画
- あとがき-日本がこの映画を作れなかったということ-
映画はトラウマを描きうるか? 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
映像が映し出せるのは物質だけだ。なぜならカメラは心の中には入れないのだから。
でも映画はその歴史の中で絶えず登場人物の心情を表現しようと、様々な手練手管を編み出してきた。役者の顔を大写しにすることで感情を読み取らせるクローズアップはまさに映画による心情表現の代表例だ。
映画は心を映せないというコンプレックスを抱いているからこそ、独自の発展をしてきたと言ってもいいのかもしれない。
そして今日紹介する「マンチェスター・バイ・ザ・シー」も心に傷を負った孤独な男の内面に迫ろうと試みた文学的作品だ。
目次
- あらすじ
- 主演ケイシー・アフレックの抜擢
- 狂気に陥らない絶望
- 気まずいシチュエーションのオンパレード
- 感想とあとがき
「スプリット」は映画界における短距離ランナーだという話
映画のジジイはなぜ怖い?「ノー・エスケープ 自由への国境」評
空き巣に入ったら盲人のジジイに襲われる「ドント・ブリーズ」がヒットを記録したのはまだ記憶に新しいですが、またしても海の向こうから「怖いジジイ映画」がやってきました。
タイトルは「ノー・エスケープ 自由への国境(原題“Desierto”)」、メキシコからアメリカへと渡る密入国者と彼らを狙う一人の老人の逃走と追跡を描いた本作は、非常にシンプルな作りながらもエンタメ性と時代性の両方を兼ね備えています。
この記事では「ノー・エスケープ 自由への国境」がいかに面白い映画なのかを紹介すると同時に、サスペンス映画のニューウェーブ「怖いジジイ」とは何なのかについて分析します。
目次
- あらすじ
- アメリカ=メキシコ国境問題
- 砂漠版「ドント・ブリーズ」
- 映画のジジイはなぜ怖い?
- そこまで政治色は強くない
- あとがき